ロクイチ様に結ばれた奇妙な縁
またまたご無沙汰してしまいました
さて、今日はロクイチ様こと
EF58 61についての思い出話です
鉄ちゃんなら知らぬ者はいない「ご神体」
私、鉄道雑誌などでほぼ毎月のように
その姿は誌面で拝んでいましたが
実際にこの目で見たのはそこそこ遅い時期で
1995年3月、地元の駅でのことで
ファーストショットはこの写真でした
折からの小雨交じりの天気の中
同僚EF58 89と重連でやってきたロクイチ様は
この駅で牽いてきた客車とお別れし
背後にたたずむEF62 54に交代したのでした
「友人A」を通じて数ヶ月前に知り合った「友人B」に
このとき、この駅で偶然再会したのは
その後の奇妙な縁の始まりだったのかもしれません
その後、その「友人A」「友人B」とともに
当時所属していた鉄道クラブの記念列車に乗る機会がありましたが
牽引機はロクイチ様とPFのPP
客車はあの日見たサロンエクスプレス東京でした
お金がない貧乏学生だったもので、手元にその写真はありません
その年の秋、「友人A」とは両毛線お召運転で同行
写真はリバーサルフィルムのラチチュードの彼方に消えました
「友人B」とは中央本線お召試運転撮影でまた偶然再会したり
三国峠の向こう側に現れたロクイチ様を撮るために
「友人A」と水力発電所脇の斜面を必死こいて登ったり
いくつかの紆余曲折を経て
ようやくまともにリバーサルフィルムでロクイチ様を写せたのは
1998年のクリスマス間際の地元の駅
あのファーストショットの位置の向こう側でした
世紀が新しくなってからもまだ奇妙な縁は続きます
ロクイチ様はまたも次位につながれて
何とも頭のおかしな編成で
地元の駅に現れたのでした
このときのロクイチ様は三重連のど真ん中に封じ込められて
ご尊顔を拝見するチャンスはまったくありませんでした
ロクイチ様の走る姿を一番見たのは2006年9月
今度は長野の客車を牽いていました
復路は大正橋で捉えるものの
曇天で張りのない写真に仕上がってしまいました
もっと納得のいく写真が撮りたいと思って
翌日、沿線の駅で撮ってみるも
これまた曇天で締まりのない仕上がり
ならばもうここしかねぇ!と
愛機をすっ飛ばして一か八かで追いついた先で
キメた流し撮りが私にとって
最高のロクイチ様走行写真となりました
走るロクイチ様を最後に撮ったのは2007年3月
4年後の同月同日に大震災が起こることなど誰も知らず
まだろくに再開発される前の高崎操車場で撮ったものです
最後尾にはEF64 36を従えて
あの懐かしい色のままの客車を牽いて
ロクイチ様は私の目の前から去っていきました
あれから15年半
現役時代に見ることが叶わなかった
二旒の日章旗を掲げて
ロクイチ様は鉄道博物館にて静態保存となりました
私がロクイチ様に感じてきた多くの想い
その一つにもに気付かぬ様子で娘氏はただ笑っていました
いつか、この機関車の美しさが分かってくれたらいいですね
そんな鉄道博物館での公開初日
私はロクイチ様の前で「友人A」と偶然の再会を果たすこととなりました
ロクイチ様は相変わらず、奇妙な縁を取り持つようです
あのロクイチ様の公開初日ということで
とんでもなく混むかと思ったら
昨今の状況に伴い予約制の入場のため
拍子抜けするくらいにまったりした雰囲気でした
ちょいと横を見れば
かつて多くの人々の眼前を颯爽と通り過ぎていった
あの頃の雄姿がそのままでそこにありました
そこには、鉄路を吹き抜けていった風すらも
一緒に身にまとっているような姿のロクイチ様がいました